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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科34巻5号

1999年05月発行

文献概要

臨床経験

腸腰動・静脈の損傷により術後後腹膜血腫をきたしたL5/S1椎間孔部ヘルニアの1例

著者: 日野浩之1 藤谷正紀2

所属機関: 1伊達赤十字病院整形外科 2北海道整形外科記念病院

ページ範囲:P.659 - P.663

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 抄録:L5/S1椎間孔部ヘルニアに対して外側アプローチにて椎間板摘出を行い,その際に腸腰動・静脈の損傷により,術後後腹膜血腫をきたしたと思われる症例を経験したので報告する.
 症例は46歳の男性で右下肢痛を主訴に初診,腰椎の前後屈制限があり,右SLR 70°陽性,神経学的には右L5神経根症状を呈し,MRIで右L5/S1椎間孔部ヘルニアを認めた.手術は外側アプローチにて脱出髄核を摘出し,椎間板内掻爬も可及的に施行した.掻爬終了間際に椎間板内よりわずかに出血を認め,血管損傷の可能性も考慮して掻爬はその時点で終了した.術後,右下肢症状は改善したが,右下腹部痛を訴えていた.また,翌日の末血所見でHb 11.1g/dl(術前15.5),Ht 33.3%(術前46.0)と貧血を呈していた.術後は血圧低下や頻拍など大血管損傷に伴う症状はなく,また経過中も貧血の進行は認めないため止血剤・抗生剤の投与で保存的に様子をみた.画像上,CT・MRIにて後腹膜に血腫と思われる像を認めた.術後2週目で腹痛は治まり,貧血も改善した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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