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文献概要
臨床経験
腸腰動・静脈の損傷により術後後腹膜血腫をきたしたL5/S1椎間孔部ヘルニアの1例
著者: 日野浩之1 藤谷正紀2
所属機関: 1伊達赤十字病院整形外科 2北海道整形外科記念病院
ページ範囲:P.659 - P.663
文献購入ページに移動症例は46歳の男性で右下肢痛を主訴に初診,腰椎の前後屈制限があり,右SLR 70°陽性,神経学的には右L5神経根症状を呈し,MRIで右L5/S1椎間孔部ヘルニアを認めた.手術は外側アプローチにて脱出髄核を摘出し,椎間板内掻爬も可及的に施行した.掻爬終了間際に椎間板内よりわずかに出血を認め,血管損傷の可能性も考慮して掻爬はその時点で終了した.術後,右下肢症状は改善したが,右下腹部痛を訴えていた.また,翌日の末血所見でHb 11.1g/dl(術前15.5),Ht 33.3%(術前46.0)と貧血を呈していた.術後は血圧低下や頻拍など大血管損傷に伴う症状はなく,また経過中も貧血の進行は認めないため止血剤・抗生剤の投与で保存的に様子をみた.画像上,CT・MRIにて後腹膜に血腫と思われる像を認めた.術後2週目で腹痛は治まり,貧血も改善した.
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