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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科34巻6号

1999年06月発行

文献概要

臨床経験

若年者に発生した大腿四頭筋腱断裂の1例

著者: 青木謙二1 鷲見正敏1 池田正則1 向井宏1 黒石昌芳1 伊藤研二郎1

所属機関: 1国立神戸病院整形外科

ページ範囲:P.825 - P.828

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 抄録:若年者に発生した稀な大腿四頭筋腱断裂の1例を報告した.症例は19歳,男性.膝蓋骨骨折のため約1ヵ月間のギプス固定を受けた.ギプス除去後に転倒して左膝の屈曲を強制され,疼痛とともに自動伸展が不能となった.膝蓋骨近位に陥凹を触知し,単純X線像では膝蓋骨の前傾と剥離骨片を認め,MRI,関節造影では膝蓋骨付着部で大腿四頭筋腱の連続性が断たれていた.以上から大腿四頭筋腱断裂と診断し,手術を施行した.四頭筋腱は膝蓋骨付着部において完全に断裂していた.埋没式アンカーを用いて四頭筋腱を膝蓋骨に縫着し,さらに人工靱帯を用いて補強した.術後早期より可動域訓練を開始し,良好な結果を得た.本症例では腱の易損傷性をきたすような基礎疾患はなく,先行する膝蓋骨骨折に対するギプス固定により膝関節の拘縮とともに四頭筋腱の脆弱化が生じ,この膝関節に対して屈曲を強制する外力が加わったために大腿四頭筋腱が断裂したと考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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