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ついである記・37
Sydney
著者: 山室隆夫12
所属機関: 1京都大学 2国際整形災害外科学会
ページ範囲:P.1020 - P.1021
文献購入ページに移動オーストラリア大陸に人が住み始めたのは第4氷河期の中頃に当たる約4万年前のことであるといわれている.その頃には地球の海面の高さが今と較べて200mほども低かったので,人々がアジア大陸からオーストラリア大陸へ比較的容易に渡ることができたのであろうと考えられている.この人々がオーストラリアのアボリジニの祖先である.その後,解氷とともに海面が上昇し,オーストラリア大陸は他の大陸から完全に孤立してしまった.そのため,オーストラリアの動物は他の大陸の動物と接することなく独特の淘汰と進化の過程を経て今に到り,珍らしい種が保存されてきたのである.人間の方も,他の大陸では農耕文化が約一万年前から発達してきたが,オーストラリア大陸では農耕文化を知らないアボリジニの生活が近世まで続いてきた.
15世紀に入って初めてパプア人や中国人とアボリジニとの交易が僅かながら始まり,16~17世紀の大航海時代になるとポルトガル人やオランダ人がオーストラリア大陸の一部を調査したという記録が残っている.1770年になって英国のキャプテン・クックがシドニー近郊に上陸し,「英王室はオーストラリア東部を領有する」と一方的に宣言したのは有名な話である.そして,1788年1月26日に英国の初代総督アーサー・フィリップがやってきて白人によるオーストラリア支配が始まった.
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