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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科34巻8号

1999年08月発行

文献概要

臨床経験

非定型的症状を呈した遠位上腕二頭筋腱断裂の1例

著者: 佐々木政幸1 小川清久1 浪花豊寿1 堀内行雄1 戸山芳昭1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部整形外科

ページ範囲:P.1045 - P.1047

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 抄録:遠位上腕二頭筋腱断裂は,主にその特徴的な症状と所見,特に筋の上方移動による異常な膨隆とその下方の陥凹,肘窩部の腱消失によって診断される.今回われわれは,大量出血や尺骨神経不全麻痺などの非定型的症状を呈した症例を経験したので報告する.患者は64歳男性で,約30kgの缶を両手で抱えるように胸の位置まで持ち上げた際,異音とともに痔痛のため右肘関節運動が不能となった.初診時,上腕から前腕は著しく腫脹しており,翌日には右尺骨神経領域の知覚鈍麻も出現した.大量出血の存在から上腕二頭筋の遠位筋腱移行部あるいは筋腹部における断裂を疑ったが,術中所見はlacertus fibrosusの筋引き抜き損傷を伴った遠位腱断裂であった.非定型的症状の主因となった大量出血は,lacertus fibrosus付着部の筋引き抜き損傷,上腕二頭筋の著しい短縮による栄養血管の損傷が,また,尺骨神経不全麻痺の原因は,上腕前方コンパートメントの圧上昇が原因と推測された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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