icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科35巻10号

2000年09月発行

文献概要

臨床経験

遠位橈尺関節変形性関節症に続発した尺側滑液鞘の水腫により発症した手根管症候群の1例

著者: 三谷誠1 金村在哲1 冨田佳孝1 日野高睦1 松原伸明1 原田俊彦1 西川哲夫2

所属機関: 1兵庫県立加古川病院整形外科 2神戸大学医学部整形外科

ページ範囲:P.1131 - P.1135

文献購入ページに移動
 抄録:きわめて稀な原因で発症した手根管症候群の1例を経験した.症例は84歳女性.右手指のしびれ感と手関節掌側の疼痛と腫脹で発症した.X線像では手関節の関節症性変化,橈骨遠位端の背屈変形,尺骨のplus variantを認めた.CT,MRIなどの画像所見では,回外時尺骨頭の掌側への亜脱臼と尺側滑液鞘の水腫の貯留を認めた.術中所見では,遠位橈尺関節掌側に漿液を含んだ尺側滑液鞘を認め,それにより正中神経は圧排され横手根靱帯部入口部で絞扼されていた.遠位橈尺関節掌側の関節包に断裂が存在し,前腕を回外すると尺骨頭に形成された骨棘がその断裂部より露出し,そこで尺側滑液鞘と手関節腔は交通していた.以上より,本症例では橈骨遠位端骨折変形治癒により,回外時に骨棘を伴った尺骨頭が掌側亜脱臼することにより関節包を破り,尺側滑液鞘と関節が交通し,その結果として,滑液鞘に漿液が貯留して手根管症候群に至ったものと考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら