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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科35巻12号

2000年11月発行

文献概要

整形外科/知ってるつもり

神経幹細胞

著者: 小川祐人1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部整形外科

ページ範囲:P.1368 - P.1371

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【はじめに】
 人間の脳には,1000億個以上の神経細胞,ニューロンが存在している.これらのニューロンは胎児期にその大部分がすでに形成されている.ニューロンには分裂能がないため,つい最近まで成人の脳においてはニューロンは決して補充されないものと教科書的には考えられてきた.従って,変性疾患や血管障害,外傷などによりニューロンが失われた場合,成人の脳においてはニューロンが再生されないため,脳機能をもとに戻すことは絶望視されていた.しかし,近年になり最初は齧歯類で,次いでサル2)や人間1)においても,成人の脳でも限られた場所のみではあるがニューロンの新生が起きていることが明らかとなった.また,1990年代に入り神経幹細胞の選択的培養法が確立され5),本来成人においてニューロンを新生していない脊髄にも神経幹細胞が存在することが報告された7).これらの報告を受けて,以前は絶望視されていた失われた脳機能の再生が内在性の神経幹細胞を活性化したり,外来性に補充することで可能になるのではという考えのもとに,神経幹細胞の生物学的性質や中枢神経系疾患に対する応用についての研究が近年盛んに行われるようになってきた.
 本稿では,このように将来の臨床応用という面で注目されている神経幹細胞について解説してみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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