文献詳細
論述
後十字靱帯単独損傷における軟骨損傷の関節鏡学的研究
著者: 長崎晋矢1 大越康充1 小野亜紀1 橋本友幸1 山根繁1
所属機関: 1函館中央病院整形外科
ページ範囲:P.1499 - P.1505
文献概要
PCL単独損傷症例30例を,受傷後4週間未満で関節鏡を行った急性例12例と4週間以上で関節鏡を行った慢性例18例に分けて検討した.鏡視上,90%に何らかの軟骨損傷が,50%に重篤な損傷が認められ,重篤な損傷は大腿骨内側顆で多かった.急性例では内側コンパートメントで,慢性例では内側コンパートメントと膝蓋大腿関節面で損傷発生頻度が高くなっていた.急性期は,dash board injuryにより𦙾骨大腿関節面におこる剪断力のため,慢性期は,𦙾骨後方落ち込みによる膝蓋大腿関節面の持続的な圧上昇と,亜脱と整復の反復による𦙾骨大腿関節面の剪断力の加算により軟骨損傷が発生すると考えられる.PCL再建術の施行により正常な後方安定性が獲得できるならば,慢性期に発生する軟骨損傷を予防できる可能性があると考えられる.
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