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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科35巻13号

2000年12月発行

文献概要

ついである記・52

Chester

著者: 山室隆夫1

所属機関: 1京都大学

ページ範囲:P.1548 - P.1549

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●英国で最も古い町の1つ
 ローマのジュリアス・シーザーの軍隊は紀元前55年に現在の英国の大ブリテン島(ローマ人はこの島をBritaniaと呼んだ)へ侵入してこの島を制圧し,440年にローマ帝国が衰退してこの島を放棄するまでの約500年間に亘って支配を続けたといわれる.そのローマ軍団の一大拠点であったのが,北ウェールズと中部イングランドの境界部に位置する古い町チェスター(Chester)である.ローマ軍団の使っていたラテン語で野営地を意味する“castra”という言葉が訛ってChesterになったのだと言われている.初めは野営地であったのだろうが,後にはローマ軍団が500年もの永きに亘ってBritaniaを支配するための拠点の1つとなったわけだから,Chesterは堅固な城壁に囲まれ,ローマ式の円形劇場や浴場を備えた立派な町に発展したものと思われる.今も高い城壁が旧市街を完全に取り囲み,その中にローマ時代の劇場跡や浴場跡が発掘によって発見されている.
 英国の地名の中にはWinchester,Manchester,Colchesterなど,語尾が-chesterで終わる名を持った町が幾つかあるが,これらはいずれもローマ軍団の野営地として開けた町である.Winchesterは英国の南東部に位置する古都で,9世紀になって初めてイングランドを統一したアルフレッド大王(Alfred the Great)が拠点とした町である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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