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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科35巻5号

2000年04月発行

文献概要

特集 脊椎外科最近の進歩―長期予後からみた問題点を中心として―(第28回日本脊椎外科学会より)

慢性圧迫に伴う脊髄内神経栄養因子(BDNF,NT-3)とその受容体(trkB,C)の発現量の変化

著者: 内田研造1 馬場久敏1 前澤靖久1 久保田力1 吉澤今日子1 古川昭栄2

所属機関: 1福井医科大学医学部整形外科学教室 2岐阜薬科大学分子生物学

ページ範囲:P.551 - P.557

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 抄録:慢性圧迫状態にある脊髄の生存,維持のメカニズムを明らかにするために,後環軸膜の石灰沈着巣により脊髄が後方より圧迫を受ける遺伝性骨軟骨異常マウス(twyマウス)を用い,神経栄養因子である脳由来神経栄養因子(BDNF),ニューロトロフィン-3(NT-3),その高親和性レセプターであるチロシンキナーゼ(trkB,C)の免疫組織学的検討を行った.BDNF,NT-3およびtrkB,Cの免疫活性は,最大圧迫部において減弱し,その隣接部では強い活性を示した.イムノブロット法による各高位別の発現量の比較でも同様な結果が得られた.圧迫程度との関係では,リガンドおよびレセプターはその程度に対し発現量は増加し,それぞれ異なる発現パターンを示した.このことは,転写調節が異なった機序で行われ,機械的圧迫によって引き起こされるニューロンへの刺激伝達障害,軸索内輸送伝達障害,または周囲のアストロサイトによる神経栄養因子産生が誘因となり,各遺伝子発現パターンが変化しているためと考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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