特集 脊椎外科最近の進歩―長期予後からみた問題点を中心として―(第28回日本脊椎外科学会より)
全置換型人工椎間板の開発と臨床応用の展望
著者:
小谷善久1
金田清志1
鐙邦芳1
高田宇重1
角家健1
島本則道1
松本聡子1
海老原響1
廉澤剛2
藤永徹3
敷波保夫3
所属機関:
1北海道大学大学院医学研究科機能回復医学講座運動器再建医学分野
2北海道大学大学院獣医学研究科診断治療学講座
3タキロン株式会社
ページ範囲:P.575 - P.580
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抄録:生体適合性微細繊維を多軸三次元立体形状に織り上げ,表面に生体活性セラミックス粉体を吹き付け処理した人工椎間板(3-DF Disc)を開発し,その生体活性と人工椎間板自体の力学的特性について検討した.さらに,成羊を用いた腰椎椎間板全置換術の有用性を生体力学的・組織学的に検討した.生体外において,3-DF Discは人腰椎椎間板類似の引張-圧縮,捻り特性を有していた.ウサギ𦙾骨を用いた静的条件下の生体内評価では,術後8週で骨梁と3-DF繊維は間隙なく接していた.羊腰椎を用いた人工椎間板全置換術において,内固定非使用群では術後6カ月の椎間可動性が著明に減少し,骨癒合も部分的であったが,内固定使用によりほぼ生理的な椎間可動域と優れた界面の骨癒合を示した.今後の臨床応用に向けての生体内吸収性材料を応用した人工椎間板置換術や解決すべき材料面での問題点についても述べた.