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論述
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抄録:術前より頚椎側面中間位のX線像で後弯を呈する頚髄症に対して,棘突起縦割式脊柱管拡大術を行い,術後のX線像および臨床症状の推移を前弯位頚髄症と比較検討した.脊柱管拡大術後の頚椎可動域は37.5%減少し,頚椎後弯は術前に10°以上の症例で5°以上進行し,10°未満の症例では進行の程度は軽度であった.10°以上の後弯と不安定性が共に見られた症例で改善率が劣っていたが,多くの症例で臨床的改善がみられ,後弯が10°未満の症例の改善率は63.8%と,前弯位の頚髄症手術例の治療成績に劣るものではなかった.その理由は,高齢者の対象が多く,椎間板変性が高度で,頚椎が後弯位を呈していても,脊髄は前後から圧迫されている症例が多いことと,術後の可動域制限が頚椎の安定化に寄与しているためと推察した.従って,10°未満の後弯位頚髄症に対して脊柱管拡大術は,十分な治療効果が期待できると結論した.
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