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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科35巻8号

2000年07月発行

臨床経験

非定型抗酸菌感染による手関節部腱鞘滑膜炎の1例

著者: 北川篤1 辻本和雄1 高田正三1 津村暢宏1 藤田久夫1 多田公英2

所属機関: 1兵庫県立総合リハビリテーションセンター整形外科 2西神戸医療センター呼吸器科

ページ範囲:P.909 - P.912

文献概要

 抄録:左手関節部屈筋腱腱鞘に発症した非定型抗酸菌感染症を経験した.症例は64歳の男性.1994年2月頃,左母指全体の腫脹,1995年2月頃より左手関節掌側に,大きさ5×4cmで境界明瞭,周囲との癒着のない腫瘤を認めた.単純X線上,手根骨に骨嚢胞形成,骨萎縮像を呈し,MRIでは,境界明瞭の腫瘤状陰影を認めた.1998年2月3日,病巣郭清術施行し,病理組織上,リンパ球浸潤と少数の多核巨細胞による肉芽形成を認めた.また,一般細菌,嫌気性菌培養は陰性であったが,抗酸菌培養にてMycobacterium intracellulareが同定され確定診断に至った.4月下旬より,REF・EB・CAM・KMによる多剤併用療法を開始し,1年後の現在,腫脹の消退を認めている.同菌種による整形外科領域での報告は少なく,難治性の手の腱鞘炎の診断に際しては本症を考慮する必要があると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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