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臨床経験
ガスを含んだ腰椎椎間板ヘルニアの3例
著者: 安川幸廣1 秋月章1 瀧澤勉1 小林博一1 北原淳1
所属機関: 1長野松代総合病院整形外科
ページ範囲:P.925 - P.928
文献購入ページに移動症例は男性1例(46歳),女性2例(72歳,73歳)であり,L4/5椎間板が2例,L5/S1が1例であった.3例ともに下肢痛で受診し,MRI上椎間板高位に嚢腫様組織がみられ,CTにてその組織内にガスを認めた.また,椎間板造影にて椎間板と嚢腫様組織との交通も認められた.2例に手術を行い,摘出した組織はいずれも椎間板組織の病理像であった.術後経過は良好であり,また保存的治療を行った1例も退院後4年を経ても症状の改善をみている.X線上,椎間板変性に伴うvacuum phenomenonはよくみられるが,ガスを含んだ椎間板ヘルニアの報告は稀である.本症はヘルニアの内容物が脱水などの作用で吸収され,そこに椎間板中央部に生じた主に窒素を主体としたガスが入り込み,あたかも風船のように膨らんで神経根を刺激し,症状を惹起しているのではないかと考えられた.
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