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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科35巻9号

2000年08月発行

文献概要

臨床経験

反対側に症状を呈した馬尾腫瘍の1例

著者: 松本彰生1 松原伸明1 日野高睦1 西川哲夫1 冨田佳孝1 照喜納光信1 原田俊彦1 井口哲弘2

所属機関: 1兵庫県立加古川病院整形外科 2神戸労災病院整形外科

ページ範囲:P.1001 - P.1004

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 抄録:腫瘍と反対側に症状を呈した馬尾腫瘍の1症例を経験した.症例は61歳の男性で,腰痛および左下肢痛を認め,腰椎の伸展で左下肢への放散痛が生じた.神経学的には両側ATRの低下,左S1以下の知覚鈍麻を認めた.画像上,L5椎体高位で腫瘍により馬尾は背側に圧排され,S1椎体高位において硬膜管は左背側に圧排されていた.手術所見では右S1神経根から発生したEden type Ⅰの砂時計腫を認め,腫瘍を右S1神経根および巻き込んだもう1本の馬尾とともに摘出した.術後右S1・2領域のしびれが出現したが,左側の症状は消失した.本症例における症状発現の機序について,左側の症状はL5椎体高位での硬膜内腫瘍による圧迫,およびS1椎体高位でのS1神経根の圧迫により出現し,右側の症状が発現しなかったのはS1椎体高位で腫瘍は右側の椎体を侵食しながら発育したため,右側の馬尾に加わる緊張が少なかったためと考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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