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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科35巻9号

2000年08月発行

文献概要

臨床経験

小児に発生した母指MP関節背側脱臼の2例

著者: 岩本淳1 橋本靖1 大野修1 小村孝1 芝昌彦1 前野耕一郎1

所属機関: 1三田市民病院整形外科

ページ範囲:P.1031 - P.1034

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 抄録:小児にみられた母指MP関節背側脱臼の2例を報告する.症例1は10歳男児で,喧嘩をして相手の手が左母指に当たり背屈を強制され受傷した.症例2も10歳男児で,サッカーボールが右母指に当たり,母指の過伸展強制により受傷した.いずれもMP関節過伸展,IP関節軽度屈曲位変形を示し,徒手整復可能であったが,整復後に関節の不安定性がみられた.一般に本外傷は,徒手整復が可能で通常側副靱帯は損傷されず,整復後は不安定性を示さない.今回の報告例では,脱臼時に側副靱帯とともに中手骨骨膜が剥離され,その結果,強い不安定性を示したが,これは骨膜が厚い小児期に特有の病態とみられた.1例目は手術を施行し結果的に骨膜を縫合したが,2例目ではギプス固定による保存療法にて良好な結果を得た.小児の母指MP関節背側脱臼では,側方不安定性があっても骨膜の剥離による場合には保存的治療が可能で,関節造影検査などでの病態把握が重要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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