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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科36巻1号

2001年01月発行

文献概要

臨床経験

小指深指屈筋腱皮下断裂の1例

著者: 河本旭哉1 栗原章1 山崎京子1 井口哲弘1 藤原朗1 佐藤啓三1

所属機関: 1神戸労災病院整形外科

ページ範囲:P.93 - P.96

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 抄録:今回われわれは稀な小指深指屈筋腱皮下断裂を経験したので,文献的考察を加えて報告する.症例は50歳の男性で冷凍魚を加工する作業に従事している.仕事中に右小指の屈曲ができないことに気づき受診した.右手掌尺側に腫脹,圧痛があり,右小指のDIP関節は屈曲不能,PIP関節は屈曲制限が認められた,術中所見では,屈筋腱腱鞘の著明な肥厚が認められ,小指深指屈筋腱は有鉤骨鉤付近で完全に断裂していた.腱の断端はささくれだっていたため腱縫合は不可能であり,また隣接腱の損傷も認めたため,腱移植術を行った.また,有鉤骨鉤の骨膜は剥離され,皮質骨面が一部露出しており,移植腱が再断裂する可能性を考えて有鉤骨鉤を切除した.術後8カ月の現在,経過良好で患者は現職に復帰している.本例では繰り返す小指の屈曲運動,有鉤骨鉤での腱の偏位,有鉤骨鉤への慢性的な外力により腱の摩耗と腱鞘炎が起こり,皮下断裂に至ったと考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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