icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科36巻10号

2001年10月発行

文献概要

最新基礎科学/知っておきたい

カテプシン

著者: 内山安男1

所属機関: 1大阪大学大学院医学系研究科情報伝達医学専攻機能形態学講座

ページ範囲:P.1166 - P.1169

文献購入ページに移動
 近年の目覚ましい分子細胞生物学の発展により骨代謝の分子機構の多くが明らかにされてきている.骨の屋台骨となる骨基質は常に形成と分解を繰り返されている.この骨リモデリングにおける骨基質の分解と吸収の中で,最も重要な要素としてカテプシンが知られている.カテプシンとはエンドソーム-リソソーム系に局在して,酸性環境下で働くプロテアーゼの総称である.通常,アルファベットで表されるが,現在ではカテプシンZまで見出されているため,新たな命名法が必要かもしれない.
 従来の酵素学ではリソソームのプロテアーゼは非特異的な分解に関与する酵素と考えられてきた.しかし,研究の流れが構造生理学と細胞生物学に向くにつれて,リソソームカテプシン群は,高分子タンパク質の処理のみならず,細胞内代謝の維持により重要な働きがあると考えられるに至っている.カテプシンの重要性は,一般的なバルクタンパク質分解に寄与することに加え,組織細胞によっては,特異的に発現してその細胞の中心的な機能を担う点にある.骨吸収の場である吸収窩には数多くのカテプシンが分泌される8).その中で破骨細胞に特異的に発現しているカテプシンKは酸性環境下におけるコラーゲンの分解に必須の働きをなすことがわかってきた.本稿では,エンドソーム-リソソーム系とカテプシンについて概説する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら