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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科36巻12号

2001年12月発行

文献概要

整形外科/知ってるつもり

喫煙による椎間板への影響

著者: 松崎浩巳1

所属機関: 1駿河台日本大学病院整形外科

ページ範囲:P.1418 - P.1418

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 最近は喫煙を悪とする風潮のため喫煙者は肩身が狭い.「タバコ即ニコチン」の悪のイメージがあるが,燃焼したタバコには4,000種類の物質が発生する.ガス状成分と粒子状成分に分けられ,前者には一酸化,二酸化炭素,亜硫酸,アクロレイン,シアン化水素酸,クレゾールなど,後者にはニコチン,タールなどがある.ニコチンはその中の1つにしか過ぎない。また,喫煙者と受動喫煙者の煙ではニコチンやタールが後者のほうが3倍高い.それゆえ,受動喫煙者への影響がむしろ大きいと言える.
 腰痛に絡む椎間板変性と喫煙の関係は高い相関がある1).1日に30本の喫煙者のニコチン血中濃度は平均70ng/ml位であるが,家兎にニコチンポンプを用いて平均100ng/mlを8週間投与すると著明な椎間板変性が生じる.この変化はニコチン量と喫煙期間に相関する.この変性のメカニズムは種々考えられるが,ニコチンの主作用は交感神経末端からのカテコールアミン放出による血管収縮である.ニコチンモデルでは椎間板の軟骨板下にある盲端状の血管の変化が著明であり,血管数は正常例(60/1視野),ニコチン例(30/1視野)と1/2にまで減少し,かつ血管の内腔は内皮細胞の腫大や血栓形成により狭小化して,著明な血流障害が生じる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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