特集 脊椎外科最近の進歩―主題とパネル演題を中心に(第29回日本脊椎外科学会より)
後縦靱帯骨化症のゲノム全域での罹患同胞対連鎖解析―ヒト21番染色体への局在同定
著者:
猪狩勝則12
古島弘三1
原田征行1
前田真吾3
古賀公明3
井ノ上逸朗4
所属機関:
1弘前大学医学部整形外科
2東京女子医科大学附属膠原病リウマチセンター
3鹿児島大学医学部整形外科
4東京大学医科学研究所ゲノム情報応用診断部門
ページ範囲:P.555 - P.558
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抄録:OPLLの遺伝解析は厚生省後縦靱帯骨化症調査研究班を中心にこれまで精力的に行われてきた.われわれも数年前に候補領域である6番染色体短腕を中心とした遺伝解析を行い,HLA領域近傍の遺伝子座に強い連鎖を見出している.Common DiseaseであるOPLLは遺伝要因が多数存在することが予想されたため,今回,解析範囲をゲノム全域に拡大し罹患同胞対連鎖解析を行った.その結果,既知の領域であるHLA領域近傍以外に16番染色体および21番染色体上で強い連鎖を認めた(NPL>2.2).特に,21番染色体上ではゲノム全域で最も強い連鎖を認めている(NPL=3.42,p=0.000009).連鎖を認めた領域での原因遺伝子同定を目指すが,21番染色体はヒトゲノム計画により全塩基配列が公開されているため,従来と異なる手法を用いて比較的容易に展開することが予想される.