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ついである記・56
VeneziaとTrieste
著者: 山室隆夫1
所属機関: 1京都大学
ページ範囲:P.648 - P.649
文献購入ページに移動過去数千年の間に世界に興った幾つかの偉大なる文明や宗教は人類に大きな遺産を残したが,異なる文明や宗教の境界部においては物凄い闘争のエネルギーが衝突し,無数の人々の血が流されてきた.そして,そのような地域の内の幾つかでは,今もなお多くの人々が貧困にあえいでいたり,また,死の恐怖におののかされたりしている.
アドリア海周辺はそのような文明や宗教の衝突の場として,歴史的に最も顕著な地域であったと言えよう.そのアドリア海の最も奥深くに位置する港町がヴェネツィア(Venezia)とトリエステ(Trieste)である.この2つの港町は僅かに120km程を隔てた対岸にありながら,地形的に著しく異なった町であるばかりでなく,歴史的にも文化的にも異なった背景を持っているので,その対比が些か面白い.
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