症例報告
中手骨より発生したBizarre parosteal osteochondromatous proliferation(Nora's lesion)―術後経過観察中に,残存石灰化組織の縮小傾向を示した1例
著者:
野澤聡13
高橋真1
四方實彦1
田中千晶1
池永稔1
中山富貴1
嶋田俊秀2
所属機関:
1京都市立病院整形外科
2京都市立病院臨床検査科病理部
3現:岐阜大学医学部整形外科
ページ範囲:P.889 - P.892
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抄録:Bizarre parosteal osteochondromatous proliferation(以下BPOP)は,1983年Noraらによって提唱された,主に中手骨,指節骨,中足骨,趾節骨に傍骨性に発生する稀な骨軟骨性の増殖性病変である.中手骨に発生したBPOPを経験したので報告する.症例は56歳女性で,主訴は4年来の左手掌の腫脹と左示指の屈曲制限である.左示指MP関節の近位掌側に皮下腫瘤を認めたが,疼痛,炎症所見を認めなかった.X線像・CT・MRI等にて左第2中手骨骨幹部掌側に基底骨骨髄腔と連続性のない骨性腫瘤を認め,1999年5月,腫瘍切除術を施行した.病理組織所見にて,軟骨細胞は多形性でbizarreな核形態を呈しておりBPOPと診断された.術後1年5カ月の現在,残存した石灰化組織の縮小傾向がみられた.文献上約半数に再発がみられるが,X線像上縮小傾向を示した報告はなく,特記すべきことと思われた.