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NK細胞
著者: 二木康夫1 谷田部拓1 松本秀男1
所属機関: 1慶應義塾大学医学部整形外科
ページ範囲:P.1192 - P.1196
文献購入ページに移動NK細胞は,1975年にHerbermanによって,腫瘍細胞に全く曝露されていない正常なリンパ球のなかで,ある種の腫瘍細胞に対して強い細胞障害性を示す細胞として見いだされた.この標的細胞を破壊する現象は,自然に発揮されることからnatural killingといわれている.その後,NK細胞は癌細胞のみならずウイルス感染細胞に対しても抗原の事前感作なしに強いnatural killingを発揮することが明らかとなり,初期の免疫反応に重要であると考えられている.
また,最近ではNK細胞を中心とした免疫システムは,大脳皮質の発達した人類において感情やストレスなどの精神状態に大きな影響を受けることも明らかにされている.ストレス刺激によってアトピー性皮膚炎が悪化したり,関節リウマチ(RA)の発症やその活動性が悪化したりすることも神経系-内分泌系-免疫系のネットワークが存在しNK細胞が自己免疫反応にも関与することの証拠である10).整形外科領域では,ラットのストレスモデルで末梢神経の再生や骨癒合が遷延することが報告され,少なからずNK細胞がこれらの治癒機転にも絡んでいる可能性がある.
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