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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科37巻11号

2002年11月発行

文献概要

連載 整形外科と蘭學・1【新連載】

日本最初の人骨図

著者: 川嶌眞人1

所属機関: 1川嶌整形外科病院

ページ範囲:P.1362 - P.1363

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 筆者の故郷であり,現在も住んでいる大分県中津市は,整形外科の開祖である田代義徳の養父,田代基徳の出身地であり,前野良沢から福沢諭吉に至るまで,多くの蘭学者の輩出した城下町としても知られている.田代基徳も福沢諭吉と同じく,大阪の適塾で緒方洪庵に蘭学を学んでおり,蘭学の歴史抜きには整形外科の発祥は語れない.前野良沢が長崎で蘭学を学ぶきっかけも整形外科と関係が深い.
 良沢が侍医として仕えた中津藩主・奥平昌鹿の母親が𦙾骨を骨折し,なかなか治らなかったところ,たまたまオランダ人の江戸参府に伴って通訳として江戸に滞在していた長崎の蘭方医,吉雄耕牛が鮮やかな治療法で全治させた.昌鹿は蘭方医術の優秀性に心服してしまい,その後しばしば手紙を耕牛に送り,自らも蘭学に大きな関心を寄せた.明和7(1770)年,昌鹿は中津に良沢を連れて帰り,さらに長崎に留学させた.良沢は長崎でターヘル・アナトミアを入手し,後に杉田玄白や中川淳庵らと大変な困難を乗り越えて翻訳し,安永3(1774)年『解体新書』として世に送り,自らは蘭学の鼻祖となった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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