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生体組織工学と整形外科
著者: 石黒直樹1
所属機関: 1名古屋大学大学院医学系研究科機能構築医学專攻運動・形態外科学整形外科
ページ範囲:P.1387 - P.1388
文献購入ページに移動整形外科では臓器の再生は必要なく,組織の再生で十分に活用できる点が重要である.骨折の治療は骨組織の再生を,骨切り術は荷重軸の変更による軟骨面(組織)の再生を期待していた.再生しやすくする工夫,例えば強固な固定や,解離を少なくするなどの注意が払われていた.しかし,一部を除き,積極的に組織再生そのものに対する人為的な操作を加えていたとは思えない.そこでは当然患者の治癒(再生)能力に頼る部分が大きくなるし,結果も治癒(再生)能力の小さな例では劣ることになる.言い換えてみれば,「治るモノは治る.治らないモノは治せない.」ということになってしまう.それでも再生能力に優れる骨組織は何とかなるが,神経・軟骨組織では結果は誠に覚束ない.
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