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境界領域/知っておきたい
COX-2
著者: 坂本長逸1
所属機関: 1日本医科大学第3内科
ページ範囲:P.1442 - P.1443
文献購入ページに移動Nonsteroidal anti-inflammatory drugs(NSAIDs)はcyclooxygenase(COX)を抑制し,プロスタグランジン(PG)生成を抑制する結果,消炎・鎮痛作用など抗炎症作用を示すと理解されている.今日ではCOXには2種類のアイソザイムが知られている.COX-1遺伝子が,まずヒツジで1988年にクローニングされると,COX酵素レベルは細胞によって異なる調節を受けていることが様々な検討から明らかとなり,サイトカインや増殖因子によって誘導を受けるCOX遺伝子がクローニングされた.この誘導型のCOX遺伝子が,刺激に反応して誘導される4.3kbサイズのmRNAを有するCOX-2遺伝子であることが明らかにされた.COX-1が全長599個のアミノ酸からなるのに対して,COX-2は604個のアミノ酸からなる分子量68,984MWの蛋白質である.これら両遺伝子がクローニングされ,様々な検討がなされた結果,COX-1遺伝子はどの細胞にも発現するハウスキーピング遺伝子であり,COX-2遺伝子は刺激に反応して発現するimmediate early geneで,COX-2酵素が炎症反応に関与し,COX-1酵素は炎症反応というよりも発現臓器に必要な生理作用を営むものであることが示唆されている(図1).
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