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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科37巻2号

2002年02月発行

文献概要

症例報告

胆嚢癌の骨格筋転移の1例

著者: 筒井求1 酒井義人1 井上喜久男1 甲山篤1 夏目徹1

所属機関: 1県西部浜松医療センター整形外科

ページ範囲:P.195 - P.198

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 抄録:胆嚢癌から骨格筋転移を起こした極めて稀な1例を経験した.症例は69歳女性.左股関節痛,左下肢腫脹を主訴に来院し,CT,MRI上,左腸腰筋腫瘍が鼡径部で左大腿動静脈を圧迫していた.生検で腺癌細胞を確認し,一部の血中腫瘍マーカーに異常高値を認めたため,各科との連携のもと精査を進めたが,原発巣不明のまま癌性胸膜炎となり呼吸不全で死亡した.剖検で胆嚢癌を発見し,腹部大動脈周囲にまで及ぶ広範なリンパ節転移を認めた.このため,大動脈周囲でリンパ流のうっ滞が起きた結果,リンパ内の癌細胞が左腸腰筋に浸潤したと思われた.広範なリンパ節転移を認めることから胆嚢癌の末期として矛盾はないが,肝・胆管への浸潤やその他の臓器への直接浸潤,血行転移などはなく,従来の胆嚢癌とは明らかに異なった浸潤経過を辿っていた.このことから,本例における癌細胞が特殊な臓器親和性を有し,極めて選択的な浸潤を来した可能性が考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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