icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科37巻2号

2002年02月発行

文献概要

症例報告

踵骨部分切除により治癒した踵部難治性糖尿病性潰瘍の1例

著者: 柳浦敬子12 鍋島祐次1 安井慎二1 藤田郁夫1 藤井英夫1

所属機関: 1姫路聖マリア病院整形外科 2現:六甲アイランド病院整形外科

ページ範囲:P.199 - P.202

文献購入ページに移動
 抄録:踵部の糖尿病性潰瘍は治療に難渋することが多い.今回われわれは,踵骨部分切除術により治癒した踵部の難治性糖尿病性潰瘍の1例を経験したので報告する.症例は62歳男性.基礎疾患として糖尿病があり,1999年5月6日に足部壊疽に対し,右下腿切断術を受けている.同年5月28日より靴擦れにより左踵部に水疱を形成,徐々に悪化し皮膚潰瘍となった.保存的療法を行ったが,発症後4カ月半が経過しても治癒せず,下腿切断術も考えられた.しかし,足部の血行状態が良好であり踵骨部分切除術の適応があると判断,同年10月21日,踵骨部分切除術を施行した.踵骨は正常の海綿骨が露出し,かつ皮膚が適度の緊張のもとに縫合できるまで踵骨の後下方約1/2を切除した.アキレス腱は足底の脂肪組織に縫合した.術後は足関節20度底屈位で6週間短下肢シーネ固定を行い,その後踵部を10mm補高した足底挿板を装着した.術後1年6カ月の現在,創は完全に治癒し,患者は疼痛なく杖歩行が可能である.踵部の難治性糖尿病性潰瘍に対する踵骨部分切除術は海外での報告は少なくない.しかし,本邦においては踵骨骨髄炎に対して本手術を施行した文献が散見されるが,糖尿病性潰瘍に対する治療としては一般的ではなく,いまだ報告例がみられない.足部の血行状態を吟味し,適応症例を選べば本手術は踵部の難治性潰瘍に対して有用な治療法であると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら