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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科37巻4号

2002年04月発行

文献概要

特集 脊椎脊髄病学最近の進歩(第30回日本脊椎脊髄病学会より)

脊髄内痛覚伝達経路における痛覚感受性受容体の役割

著者: 中塚映政1 玉置哲也1 吉田宗人1 山田宏1 中川幸洋1 武田大輔1 筒井俊二1

所属機関: 1和歌山県立医科大学医学部整形外科

ページ範囲:P.351 - P.358

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 抄録:今回,脊髄スライス標本からパッチクランプ記録を行い,近年注目されるカプサイシン,VR1受容体ならびにATP,P2X受容体の脊髄後角痛覚伝達系への関与を検討した.VR1受容体とP2X受容体は,異なった特定の一次求心性線維終末に発現,作用し,興奮性伝達物質であるグルタミン酸の放出を増強することにより,脊髄後角細胞に興奮増強効果をもたらした.また,VR1受容体を介する脊髄第Ⅱ層細胞への興奮増強効果は,多シナプス性に深層の脊髄第Ⅴ層細胞へ伝達されることから,解剖学的に解析困難な脊髄後角表層と深層の細胞間に機能的な興奮性シナプス結合が存在することが明らかになった.さらに,カプサイシンとATP感受性入力は最終的に脊髄第Ⅴ層細胞に統合され,しかも,これらの異なった2つの興奮性入力が干渉し,脊髄第Ⅴ層細胞の興奮性を高めた.したがって,両受容体は脊髄痛覚回路において重要な役割を果たすことが示唆された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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