icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科37巻4号

2002年04月発行

文献概要

特集 脊椎脊髄病学最近の進歩(第30回日本脊椎脊髄病学会より)

椎間板の免疫学的特権とその分子生物学的メカニズム―Fas-ligandの存在とその役割

著者: 髙田徹1 西田康太郎1 土井田稔1 井口哲弘2 栗原章2 宇野耕吉3 黒坂昌弘1

所属機関: 1神戸大学大学院医学系研究科器官治療医学講座運動機能学 2神戸労災病院整形外科 3兵庫県立のじぎく療育センター整形外科

ページ範囲:P.483 - P.487

文献購入ページに移動
 抄録:椎間板,特に髄核は宿主免疫から隔離されており,いわゆる免疫学的特権を有する組織の1つである.免疫学的特権をもつその他の体内の組織には精巣や眼の前房がある.これらの組織ではTNF familyに属する2型細胞膜表面タンパクであるFas-ligand(FasL)の存在が報告されている.今回,椎間板の免疫学的特権の分子生物学的メカニズムの存在を明らかにするために,椎間板におけるFasLの発現につき検討した.SDラットの椎間板と側弯症患者から手術時に摘出したヒト椎間板に対し,抗FasL抗体を使用して免疫染色を行った.またラットの椎間板組織を用いてRT-PCRを行い,椎間板におけるFasL mRNAの発現を検討した.免疫染色の結果,ラットおよびヒト髄核細胞を中心にFasL陽性染色を認めた.RT-PCRでも同様にラット椎間板におけるFasL mRNAの発現を確認した.今回の研究結果から,正常椎間板におけるFasLの発現がはじめて証明された.したがって椎間板においても精巣や眼の前房と同様に,免疫特権を維持する分子生物学的メカニズムが存在していることが示唆された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら