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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科37巻4号

2002年04月発行

文献概要

特集 脊椎脊髄病学最近の進歩(第30回日本脊椎脊髄病学会より)

腹部大動脈病変と腰痛―血行再建術後の腰痛の変化と画像所見,Retrospective Study

著者: 竹谷内克彰1 菊地臣一1 矢吹省司1 荒井至1 緑川博文2 星野俊一2 千葉勝実3

所属機関: 1福島県立医科大学医学部整形外科 2福島第一病院心臓血管病センター 3福島第一病院整形外科

ページ範囲:P.505 - P.510

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 抄録:手術により腰動脈を遮断した腹部大動脈瘤32例と動脈硬化により腰動脈が閉塞している高位大動脈閉塞症8例を対象として,血行再建術前後における腰痛や術後の腰部MRI画像を観察した.この観察により,腰痛の変化,腰仙椎部背筋群の変性,および椎間板の変性をretrospectiveに検討した.その結果,腹部大動脈瘤では血行再建術で腰動脈が結紮されても,その後の腰痛の発生や多裂筋の萎縮・変性,あるいは椎間板の変性の出現や促進は認められなかった.また,高位大動脈閉塞症を呈する症例では,同じく腰動脈からの血流が途絶しているAAA術後と比較して,腰痛を有する頻度が有意に高かった.これらの事実は,腰痛の発生には腰動脈の閉塞自体ではなく,腰動脈の支配領域における末梢での循環障害が関与していることを示唆している.したがって,腰動脈分岐部の動脈硬化による腰動脈の血流減少のみが,腰痛出現,腰仙椎部背筋群の変性,および椎間板の変性の重要な要因とは考えにくい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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