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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科37巻5号

2002年05月発行

文献概要

シンポジウム 縮小手術への挑戦―縮小手術はどこまで可能か

低悪性度軟骨肉腫に対する凍結手術の試み

著者: 川井章1 杉原進介1 森本裕樹1 高田逸朗1 伊藤達男1 井上一1

所属機関: 1岡山大学医学部整形外科

ページ範囲:P.585 - P.592

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 要旨:低悪性度軟骨肉腫に対する縮小手術の試みとして,凍結手術を応用した腫瘍内切除(掻爬)術の治療成績を検討した.過去20年間に掻爬・凍結手術を用いて治療を行い,組織学的に軟骨肉腫と最終診断された上腕骨近位発生の軟骨肉腫44例を対象とした.術後観察期間平均62カ月で局所コントロールは39例(88.6%)で得られた.最終観察時NED 40例,DOD 2例,他病死2例で,5年累積生存率は94.5%,無病生存率は88%であった.合併症として骨折を5例に生じた.患肢温存率は41/44例(93.2%)で,ISOLSによる患肢機能評価は平均93%であった.骨皮質の破壊を伴わない髄内限局型の低悪性度軟骨肉腫に対しては,徹底的なintralesional excisionに加えて凍結手術を行うことにより,大多数の例で良好な腫瘍コントロールと患肢機能の獲得が可能であることが明らかとなった.臨床的に診断・治療法の選択に苦慮するような良悪性境界型の軟骨性腫瘍,chondrosarcoma in situなどの低悪性度軟骨肉腫に対しては,掻爬・凍結手術がひとつの実際的で有用な選択枝となりうると考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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