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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科37巻6号

2002年06月発行

文献概要

シンポジウム スポーツ肩障害の病態と治療

投球時肩痛の発生に影響する因子

著者: 林田賢治1 中川滋人2 鳥塚之嘉3 菅本一臣3 越智隆弘4

所属機関: 1星ケ丘厚生年金病院整形外科 2大阪府立病院整形外科 3大阪大学医学部整形外科 4大阪大学大学院医学系研究科応用医工学講座

ページ範囲:P.673 - P.677

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 要旨:全国高等学校野球選手権大会出場チームの投手のなかで大会前に直接検診した569名を対象とし,投球時肩痛の発生に影響する因子を検討した.評価項目は,1カ月以上の投球時肩痛歴の有無,関節可動域の絶対値および投球側―非投球側差,外転筋力,X線による肩峰形態:肩前後像による肩峰の傾斜(水平,外側下がり),肩甲骨Y撮影による肩峰形態(flat,curve,hook),大結節の形態(弓状,角状),2kg重垂を用いての下方動揺性,挙上位前後像による後方動揺性とした.肩痛の有無と関節可動域,外転筋力,X線評価間での相関を検討した.その結果,1カ月以上の肩痛の経験があった症例は147名(26%)であった.関節可動域,外転筋力に関しては,投球側の絶対値,非投球側との比較とも,肩痛あり群と肩痛なし群間に統計学的有意差(t検定)は認められなかった.X線学的評価では,肩峰形態,後方動揺性では,肩痛あり群と肩痛なし群間に統計学的有意差は認めなかった(以下χ2検定).大結節形態は,肩痛あり群で,弓状46肩,角状101肩,なし群で189肩,233肩と有意差を認めた(p<0.005).下方動揺性は,肩痛あり群の(-)は63肩,(±)は73肩,(+)は11肩,なし群では,それぞれ172肩,185肩,65肩で有意差を認めた(p<0.05).角状大結節をもった肩関節は投球時痛を生じやすく,下方動揺性を持った肩は投球時痛を生じにくいといえる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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