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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科37巻6号

2002年06月発行

文献概要

手術手技 私のくふう

全身性エリテマトーデスによる陳旧性膝蓋腱断裂例に対するイリザロフ法の応用

著者: 中村豊1 大関覚1 荻原章弘1 菅野吉一1 野原裕1

所属機関: 1獨協医科大学越谷病院整形外科

ページ範囲:P.715 - P.719

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 抄録:28歳の女性の全身性エリテマトーデス(以下,SLE)に併発した,稀な陳旧性膝蓋腱断裂の治療経験を報告した.12歳よりステロイド療法を受けていたが,27歳時に転倒して膝蓋腱を断裂し,13カ月後,随意的伸展不能を主訴に当科を初診した.膝蓋骨は正常側に比べて8.7cm上方に偏位しており,膝蓋腱部の陥凹を認め,膝蓋骨は徒手的に2cmしか下降しなかった.単純X線写真では膝蓋骨高位,MRIではT1強調像で低信号な膝蓋腱像の不連続性を認めた.膝の関節可動域を維持するために,continuous passive motion(以下,CPM)を継続しながら,イリザロフ法により10週間かけて膝蓋骨を引き下げ,大腿四頭筋の拘縮を軽減した.膝蓋腱の再建には停止部を温存した半腱様筋腱と薄筋を膝蓋骨に逆U字状に通し,ポリエチレンメッシュに連結して𦙾骨外側にステープルで固定し,さらに大腿四頭筋腱様部を翻転して補強した.術後3年間観察したが,extension lag,関節可動域制限,日常生活に障害はない.陳旧性膝蓋腱断裂では.腱再建前にイリザロフ創外固定器を用いて膝蓋骨を引き下げて大腿四頭筋の拘縮を十分に軽減することが安全かつ有用であった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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