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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科37巻9号

2002年09月発行

文献概要

シンポジウム 橈骨遠位端骨折の保存的治療のこつと限界

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著者: 荻野利彦1

所属機関: 1山形大学医学部整形外科

ページ範囲:P.1017 - P.1019

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 橈骨遠位端骨折は頻度の高い骨折であり,老人が手をついて倒れたときに受傷するものとして知られている.筆者が整形外科の研修を始めた当時に購入した『神中整形外科学』第19版(1971年発行)の橈骨遠位端骨折の項をみると,その治療法について,「非観血的整復,固定,および固定中の手指屈伸運動の励行を原則とする.」さらに「非観血的整復不能な陳旧例,および粉砕骨折で固定が困難なものには観血的治療が行われる.」と記載されている.一方,1990年発行の第21版の同じ項をみると,Gartlandの分類が引用されている.すなわち,「骨折線が関節外にあるものはⅠ型,関節内に骨折線が及ぶが関節内の段差を生じるような転位がないものはⅡ型,関節内骨折片の転位と関節面段差を伴うものはⅢ型である」.Ⅲ型については,橈骨関節面中央部の陥没骨折を伴うもの,尺側縁の陥凹を伴うもの,尺側背側骨片の転位を伴うものがあることが記載されている.また,治療については,「Ⅰ型とⅡ型では遠位骨片全体の転位をできる限り整復,固定すればよい」ことと「Ⅲ型では観血整復術とKirschner鋼線固定が必要なこと,骨欠損を生じた場合には骨移植が必要なこと」が記載されている.一見,異なることが書かれているように錯覚するが,記載されている要旨はほぼ同じである.すなわち,転位がない骨折は保存療法の適応であり,転位があって保持が困難な骨折は観血的治療の適応であるということである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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