文献詳細
症例報告
文献概要
抄録:軟部組織の石灰沈着は,一般に激しい疼痛と運動制限を伴い,日常診療上は,肩,肘,股関節周囲に多くみられ,それ以外の部位では珍しい.今回,retropharyngeal tendinitisの1例を経験したので報告する.症例は42歳女性で,主訴は項部痛と嚥下痛である.頚部単純X線の側面像にてretropharyngeal spaceが8mmと拡大し,環椎前弓直下に淡い卵円状の石灰化陰影を認めた.CT像では,環椎,軸椎のレベルで前方に石灰化を認めた.以上よりretropharyngeal tendinitisと診断した.局所安静と非ステロイド系消炎鎮痛剤で症状は軽快し,単純X線像でもretropharyngeal spaceは正常化した.
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