連載 整形外科と蘭學・6
蘭学の里中津シンポジウム
著者:
川嶌眞人1
所属機関:
1川嶌整形外科病院
ページ範囲:P.1428 - P.1429
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国際ロータリークラブの会長,向笠広次氏(1911~1992)を育て,世界に送り出したことで知られている中津ロータリークラブは来年(平成16年)で50周年を迎えることになった.この記念すべき年度にあたり,中津ロータリークラブの会長として筆者は中津の市民,特に若者たちに何か夢と希望とロマンを感じてもらう活動はないかと検討してきた.そのためには前野良沢,田代基徳,福澤諭吉を生み出した蘭学を中心とする中津の歴史をもう一度見直し,中津が輩出した多くの先哲から何かを学び,次の世代に引き継いでゆくことが大切ではないかと考えた.佐藤正直中津ロータリークラブ50周年実行委員長をはじめとする実行委員会は,今年10月11日(土曜)に一般市民に向けて「蘭学の里中津に夢と希望を」と題する記念シンポジウムを中津市文化会館で行った.出席対象は中学生以上の一般市民とした.
前野良沢から福澤諭吉に至るまで,中津藩は多くの蘭学者を輩出し,日本の近代化のために大きな貢献をした藩である.明治4年(1871年),中津医学校校長に就任した大江雲沢は「医は仁ならざるの術,務めて仁をなさんと欲す」という医訓を残し,華岡清洲の弟子という外科医としてのみならず,教育者としての業績を残した人として知られており,その家からは1,000点の史料が発見されたことから,中津市によって貴重な医家として保存され,平成16年度には一般公開も期待されている.