icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科38巻2号

2003年02月発行

文献概要

シンポジウム 膝複合靱帯損傷に対する保存療法および観血的治療の選択

前および後十字靱帯複合損傷例に対する治療選択

著者: 安田和則1 青木喜満2

所属機関: 1北海道大学大学院医学研究科外科治療学講座生体医工学分野 2北海道大学大学院機能再建医学講座運動器再建外科分野

ページ範囲:P.157 - P.163

文献購入ページに移動
 抄録:筆者らは前および後十字靱帯複合損傷例に対して新鮮期には計画的二期手術を,陳旧期には一期的同時複合再建を行ってきた.最近の10年間の症例数は新鮮損傷7例7膝,陳旧性損傷17例17膝である.新鮮損傷に対する治療成績では術後ROMにおける伸展制限は全例で認められず,屈曲制限は全例で15°以下であった.術後の膝前後不安定性の健患側差は1膝を除いて5mm以下であった.術後sagging徴候は5膝で(-),2膝で(±)であり,明らかな(+)はいなかった.術後IKDC評価は6例がほぼ正常,1膝がやや異常であり,明らかな異常はなかった.陳旧性損傷に対する治療成績では伸展制限を認めた症例はなく,また屈曲制限は全膝で10°以下であった.術後のsagging徴候は(+)3膝,(±)が5膝,(-)が7膝であった.術後膝前後不安定性の健患側差は5mm以下が10膝,5~7mmが3膝,8mm以上が2膝であった.術後IKDC評価はBが10例,Cが3例,Dが2例であった.複合靱帯再建術の成績はこの10年間で著しく改善した.われわれが開発した種々の屈筋腱ハイブリッド材料は,重度複合靱帯損傷の治療戦略に有用であった.しかしいまだ汎用化できる段階には至っておらず,安易な治療計画をたてるべきではない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら