icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科38巻3号

2003年03月発行

文献概要

症例報告

ピオクタニンが原因と思われた肩関節症―1例報告

著者: 宍戸裕章1 菊地臣一1 紺野慎一1

所属機関: 1福島県立医科大学医学部整形外科

ページ範囲:P.357 - P.360

文献購入ページに移動
 抄録:腱板修復術後に,術中カラーテストとして用いたピオクタニンが原因と考えられる関節症を生じた1例を経験したので報告する.症例は,54歳の男性である.前医で左肩腱板断裂の診断のもとに腱板修復術が行われた.術中に腱板断裂部が明らかでなかったために,ピオクタニンの関節内注入が行われた.術後2年経過してから,誘因なく左肩関節痛と挙上困難が出現した.単純X線像で,左肩関節裂隙の狭小化と骨頭臼蓋関節面不整像が認められた.しかし,骨棘形成などの骨増殖性の変化は認められなかった.MRI像で,骨頭上内側部と臼蓋にT1強調像で等信号,T2強調像で高信号,Gd-DTPAで増強効果の変化を認めた.臨床経過と画像所見から,ピオクタニンによる肩関節症と診断し,人工肩関節置換術を施行した.術中所見で骨頭と臼蓋の軟骨消失と肉芽組織の存在が認められた.組織毒になりうるピオクタニンを関節内に使用することは避ける必要があると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら