文献詳細
症例報告
文献概要
抄録:腱板修復術後に,術中カラーテストとして用いたピオクタニンが原因と考えられる関節症を生じた1例を経験したので報告する.症例は,54歳の男性である.前医で左肩腱板断裂の診断のもとに腱板修復術が行われた.術中に腱板断裂部が明らかでなかったために,ピオクタニンの関節内注入が行われた.術後2年経過してから,誘因なく左肩関節痛と挙上困難が出現した.単純X線像で,左肩関節裂隙の狭小化と骨頭臼蓋関節面不整像が認められた.しかし,骨棘形成などの骨増殖性の変化は認められなかった.MRI像で,骨頭上内側部と臼蓋にT1強調像で等信号,T2強調像で高信号,Gd-DTPAで増強効果の変化を認めた.臨床経過と画像所見から,ピオクタニンによる肩関節症と診断し,人工肩関節置換術を施行した.術中所見で骨頭と臼蓋の軟骨消失と肉芽組織の存在が認められた.組織毒になりうるピオクタニンを関節内に使用することは避ける必要があると考えられた.
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