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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科38巻4号

2003年04月発行

文献概要

特集 脊椎脊髄病学最近の進歩 2003(第31回日本脊椎脊髄病学会より)

三角筋,上腕二頭筋の神経支配と頚髄症の責任高位からみた頚椎後方術後C5麻痺発生に対する検討

著者: 金子和生1 田口敏彦1 河合伸也1

所属機関: 1山口大学医学部整形外科

ページ範囲:P.383 - P.387

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 抄録:頚椎後方手術における術後C5麻痺の発生メカニズムについて,三角筋および上腕二頭筋の神経根分布の違いから検討した.圧迫性頚髄症に対して後方手術を行った症例で,術中神経根刺激による複合筋活動電位(CMAPs)を測定し,その振幅比から神経根分布を検討した.頚髄症の責任高位は脊髄誘発電位を用い判定した.C4-5に責任高位を有する頚髄症では他の高位の頚髄症に比較し,三角筋,上腕二頭筋ともC5神経根有意に支配されている症例が多く,これはC4-5頚髄症によるC6髄節障害に関連する神経分布の再構築と推察した.一方,本研究以前に後方法が施行され,脊髄誘発電位により障害高位を判定し得た頚髄症56例中,4例に術後1段階以上の筋力低下を呈したC5麻痺を生じていた.これらの4例(CSM 2例,OPLL 2例)はいずれもC4-5に責任高位を有していた.

 C4-5頚髄症ではC6髄節障害が存在し,三角筋などの肩外転作動筋がC5有意の支配となっている可能性が高く,このような状態でC5根障害を生じた場合に,著明な臨床症状を呈するものと予測され,本仮説が頚椎術後C5麻痺の発症メカニズムのひとつではないかと推察した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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