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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科38巻5号

2003年05月発行

文献概要

視座

情報化時代における医療のかたち

著者: 内尾祐司1

所属機関: 1島根医科大学整形外科

ページ範囲:P.587 - P.588

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 1960年代から出現したコンピュータは人間の計算処理,記憶能力をはるかに超え,それに携わる知的労働者の時間を飛躍的に短縮させた.また,元来米国で軍事的システムとして構想されたインターネットはコンピュータの発達と共に政府機関・大学研究組織間の情報網を拡大させ,1989年にはTim Berners-Leeが発明したWorld Wide Webによって民間企業を含めたネットワークを全世界に構築するに至った.そして今,家庭ではコンピュータ端末のキーをはじくだけでネットワーク内に蓄積された情報は簡単に取り出せる時代になった.情報の時間的・空間的障害がなくなった情報化時代の今,組織はどのような形をとっていくのであろうか.

 組織の世紀といわれる20世紀には階層的・官僚的組織こそが最強,最善の組織としてみなされてきた.
P. F. ドラッガーによれば,「産業革命は人間を単純な機械的作業から情報収集,分析,利用などの知的作業へシフトさせた.しかし,個々の人間の情報処理能力には限界があるために,組織の階層化,分業化,専門化を進めることが必要であり,そのためには官僚型の組織こそが効率性・利便性・生産性にすぐれた組織として認識されてきた」という.しかし,20世紀末には効率性だけでは対処しきれない価格破壊や,組織の利益を追求するあまり生じた政官業の癒着・談合,薬害,不正経理などの社会問題はこれまでの組織そのもののあり方の問題や矛盾を露呈し,今,別の組織のあり方が模索されようとしている.企業は従来の階層的・官僚的組織とは異なった組織,例えば顧客を中心とした逆ピラミッド型,あるいはネットワークを用いたフラット型の組織変革を行うことで企業としての生き残りをかけようとしている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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