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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科38巻5号

2003年05月発行

文献概要

シンポジウム 外傷に伴う呼吸器合併症の予防と治療

骨折患者に発症した肺血栓塞栓症

著者: 加藤宏1 長谷川栄寿1 辺見弘1 木下藤英2 星野瑞2 倉本憲明3 川井真4 大泉旭4 原義明4 山本保博4

所属機関: 1国立病院東京災害医療センター救命救急センター 2国立病院東京災害医療センター整形外科 3国立病院東京災害医療センター放射線科 4日本医科大学高度救命救急センター

ページ範囲:P.607 - P.612

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 抄録:骨折治療中に発症した肺血栓塞栓症(PTE)4例を提示した.症例1(58歳,女性,下腿骨骨折)は受傷8日(術後6日)に突然のショックから死亡に至り,剖検で診断された.症例2(60歳,男性,胸椎骨折),症例3(36歳,男性,骨盤骨折),症例4(52歳,男性,下腿骨骨折)は,各々受傷19日(術後15日),14日(創外固定中),5日(牽引中)に突然呼吸困難と低酸素血症が出現した.いずれも胸部X線や心電図には異常を示さなかったが,引き続き実施したヘリカル造影CTで肺動脈内血栓を認め,直ちに抗血栓療法を開始して症状改善が得られた.PTEは骨折患者の年齢や時期を問わず生じる重篤な合併症のため,積極的な初期検索と早期治療が求められるが,今回ヘリカル造影CTにはスクリーニング検査としての高い有用性が示唆された.また,症例4はPTE発症後に内固定を実施したが,手術侵襲に伴う再発防止には一時留置型下大静脈フィルターの併用が安全かつ有効であると思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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