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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科38巻5号

2003年05月発行

文献概要

シンポジウム 外傷に伴う呼吸器合併症の予防と治療

大腿骨近位部骨折における肺血栓塞栓症の危険因子とその予防

著者: 阿部靖之1 岡嶋啓一郎1 中野哲雄2

所属機関: 1熊本中央病院整形外科 2公立玉名中央病院整形外科

ページ範囲:P.619 - P.625

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 抄録:大腿骨近位部骨折は肺血栓塞栓症(PTE),深部静脈血栓症(DVT)のリスクが非常に高い.499症例の検討では,症候性PTEは12例,2.4%発症しており,4例が死亡していた.統計学的検討では片麻痺,心疾患,人工骨頭置換術がPTEのハイリスクであった.下肢静脈造影検査でDVTが認められなかった21症例の平均D-dimer 11.4μg/ml,DVT,PTE症例9例の平均D-dimer 41.4μg/mlで,統計学的にも有意差があり,スクリーニングとして,D-dimerが有用と思われた.D-dimerが高値の場合,肺動脈造影CT,下肢静脈造影CTを撮影し,早期診断を行っている.ほぼ全例に対して,弾性ストッキングなどの機械的予防法を行いながら,さらにハイリスクな症例には,抗凝固療法を組み合わせている.また,軽症のPTEの早期発見のために,低酸素血症のモニタリングも必要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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