シンポジウム 脊椎転移癌に対する治療法の選択
転移性脊椎腫瘍の手術成績と問題―脊椎転移発見の現状と問題点
著者:
原田良昭1
玉田利徳4
杉原進介5
竹内一裕3
田中雅人3
尾崎敏文2
川井章6
中原進之介3
坂手行義4
井上一2
所属機関:
1岡山労災病院リハビリテーション科
2岡山大学整形外科
3国立病院岡山医療センター整形外科
4川崎医科大学附属川崎病院整形外科
5高知県立中央病院整形外科
6国立がんセンター整形外科
ページ範囲:P.717 - P.721
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抄録:転移性脊椎腫瘍に対する脊椎全摘術9例の手術成績について検討した.また,転移性脊椎腫瘍が実際にどのような経緯で発見されているか76例について調査した.脊椎全摘術は早期に発見され病巣が限局した症例に対し局所根治を期待しうる.しかし,転移性脊椎腫瘍の76%は発見時既に脊椎多発性転移であった.原発癌治療後の定期検査で脊椎転移が発見されていたのは12%で,56%は原発癌の診断後であるが脊椎転移症状の出現後に発見されていた.骨シンチでの偽陰性が56例中15例にみられた.転移性脊椎腫瘍を早期に発見することで治療成績が改善する可能性がある.そのためには癌患者の定期検査を再検討する必要がある.また,早期段階で発見した場合の治療方針を確立するために,多数例のprospectiveな蓄積が必要である.定期検査および早期治療指針のガイドラインが重要と考える.