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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科38巻6号

2003年06月発行

文献概要

シンポジウム 脊椎転移癌に対する治療法の選択

転移性脊椎腫瘍に対する放射線治療の適応とその成績

著者: 高橋満1 片桐浩久1 浜名俊彰2

所属機関: 1静岡県立静岡がんセンター整形外科 2岡崎市民病院整形外科

ページ範囲:P.755 - P.761

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 抄録:がん専門病院における放射線治療の結果に基づき,脊椎転移に対する非手術的治療の適応と成績を検討した.(1)圧迫骨折を生じた後に放射線治療を開始し,6カ月後に検診できた35例についてQOLを評価した.神経症状が軽微の場合には,放射線治療により,大部分の症例で治療開始後6カ月以上麻痺の進行を回避することができた.一方,重篤な麻痺症状を有した場合,有用肢にまで回復する可能性は40%にすぎなかった.(2)脊椎転移に対する局所治療の有効期間を知るために,乳癌152症例について検討した.脊椎転移出現後の50%生存期間は20カ月であった.一方,局所治療が有効であっても,半数の症例では6カ月以内に治療した箇所以外の脊椎病変によりADLが低下してしまうことが明らかになった.諸家の言う厳格な手術適応を満たした症例でも,7.5カ月のうちに半数例で治療を要する他椎体病変が出現,1年以上局所効果が持続するのは34%であった.(3)胸椎圧壊による急速な脊髄障害を回避するためには,X線正面像で側屈変形としてしか確認できない時期に切迫圧壊を診断して,早期に放射線治療を開始することが重要である.また,この側屈変形は,複数椎体におよぶ転移病巣を有する患者において,放射線治療の優先部位を決定する上でも有用な所見である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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