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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科38巻6号

2003年06月発行

文献概要

症例報告

保存的に治癒しえたMRSA腰部硬膜外膿瘍の1例

著者: 宮城仁1 小野豊2 小林康正3 粟飯原孝人2 白井周史1

所属機関: 1千葉大学大学院医学研究院整形外科学 2公立長生病院整形外科 3みどり整形外科クリニック

ページ範囲:P.849 - P.854

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 抄録:保存的に治癒しえたMRSA腰部硬膜外膿瘍の1症例を経験したので報告する.症例は44歳の女性で腰痛と左下肢痛を主訴に来院した.MRI上,L5/S1レベルで左後下方に突出したヘルニア像を認めた.疼痛が強く硬膜外チューブによる持続注入を施行したところ,4日後に発熱,頭痛を生じた.発症後3日のMRIでL3上縁よりL5下縁レベルの前方硬膜外腔に膿瘍像を認め,カテーテル先端の培養よりMRSAが検出された.抗生剤の投与を開始し,3週後には症状および炎症所見の改善がみられ,6週後のMRIにて膿瘍像は消失した.発症後2年10カ月の現在,再発の所見は認められず,ヘルニアによる腰,下肢痛も消失している.過去の報告では,腰部硬膜外膿瘍に対し神経症状がなくとも予防的に手術療法を選択している症例が多くみられるが,われわれは神経症状がなくMRIにて早期診断され,起因菌が同定されればMRSAによる腰部硬膜外膿瘍においても保存療法の適応と考えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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