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著者: 山田治基1
所属機関: 1藤田保健衛生大学整形外科
ページ範囲:P.865 - P.865
文献購入ページに移動医師という職業は,高い技術を有する専門家という認識が一般的である.現実に,他の者には許されていない医療という行為を特権的に行うことが認められており,その専門性,独占性は法および社会観念により強固に守られてきた.つまり,他の領域からはきわめて犯しにくい,閉ざされた世界を形成してきた職種である.また職業柄,患者個人の秘密に触れることが多く,かつ行為の結果が生命に関わることのある職業であるため,高度の倫理観と義務意識を有するのは当然のこととされ,現場の細部において,いわゆる法に従うということを意識することは比較的少ない職種であった.もちろん現実の医療にはさまざまな規制が存在し,それに縛られているのであるが,それでも時として,同じような患者様を前にして,まったく正反対といえる治療法を選択しても許容される場合のあるほど,その裁量というものが認められている職業であった.
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