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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科38巻7号

2003年07月発行

文献概要

論述

高度内反変形膝に対する人工関節置換術の術後成績と問題点

著者: 王寺享弘1 東野修1 宮城哲1 徳永真巳1 宏洲士郎1 吉本栄治1 松田秀策1

所属機関: 1福岡整形外科病院

ページ範囲:P.889 - P.896

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 抄録:高度内反膝の病態は内側支持機構および後十字靱帯を含む後方支持機構の拘縮,けい骨の骨欠損,それに外側支持機構の弛緩である.またけい骨内側顆の破壊によるbone defect typeと,大きな骨欠損のないfixed varus typeに分けられる.これに対する人工関節置換術では,骨欠損に対する処置,アライメントの確保やsoft tissue balancing,術後の関節動揺性などの問題点が存在する.本研究では立位膝外側角(以下,FTA)195°以上の22膝の術後成績を検討した.術後追跡期間は平均5年4カ月であった.

 臨床成績はknee scoreが術前平均38.6点から76.6点へ,function scoreも術前平均39.1点から80.9点と改善した.しかしFTAは術前平均198.8°から調査時176.1°と矯正されていたが,180°以上の矯正不足が4膝みられた.またストレスX線による術後安定性の評価では,外反は3.8±2.1°であり,内反は6.9±3.4°と軽度の内反動揺性を認めた.Soft tissue balancingの目指すものは解剖学的な骨切除,屈曲伸展での内外側の等しいバランスであるが,高度内反膝では必ずしも容易ではなく,適度な緊張を持った内側支持機構の剝離と,適正なアライメントを得ることが重要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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