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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科38巻8号

2003年08月発行

文献概要

シンポジウム 難治性骨折の治療

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著者: 糸満盛憲1

所属機関: 1北里大学医学部整形外科

ページ範囲:P.1004 - P.1005

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 四肢の骨折は,軟部組織を含めた四肢外傷における組織損傷の一部であって,決して骨のみが独立して損傷されるものではない.たとえ皮下骨折であっても受けた外力の方向と大きさによって,骨を包む骨膜・筋組織・血管を含めた軟部組織の剥離や断裂など相応の損傷を伴うものである.骨折が難治性になる理由は大きく分けて2つある.第1は骨折の病態そのものであり,第2に治療後の続発症・合併症によってもたらされる病態である.

 生命を脅かす臓器損傷を伴う多発外傷の多くは,骨折を含めた四肢損傷を合併している.この場合,救命処置が最優先であることは論を待たない.すなわち,“Life before limb”である.しかし整形外科医が常に考慮しなければならないことは,四肢損傷が救命処置の足かせになってはならないことであり,また初期段階から救命後の運動機能の可及的早期の回復を視野に入れて対応することである.そのためにはdamage control orthopedicsの概念を理解し,治療のタイミングと方法を熟知して,段階的に四肢損傷を治療する戦略を立てなければならない.特に開放骨折は四肢の機能回復という観点からは常に緊急を要する病態であり,全身状態を考慮して短時間で再建か切断かの判断を下す必要がある.現在,早期切断の客観的指標として多くのscoring systemが提唱されているがまだ十分なものとはいえない.全身状態を考慮した外傷外科医の経験に基づく高度な判断が要求されるところである.この評価と判断の誤りは急性期の合併症,とりわけ呼吸器合併症を続発し致命的になることさえある.多発外傷・重度外傷に伴う四肢外傷の初期治療のあり方については大泉 旭氏・他,新藤正輝氏に詳しく解説していただいた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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