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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科38巻9号

2003年09月発行

文献概要

シンポジウム 全人工肩関節置換術の成績

慢性肩疾患に対する全人工肩関節・人工骨頭置換術の術後成績―歴史を中心に

著者: 濱田一壽1 柳沢和裕2 内山善康2 中島知隆2 福田宏明3

所属機関: 1静岡赤十字病院整形外科 2東海大学整形外科 3済生会平塚病院整形外科

ページ範囲:P.1153 - P.1158

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 抄録:人工肩関節・骨頭置換術手術を行い1年以上の経過観察が可能であった22症例の成績を分析・検討した.内訳は関節リウマチ(RA)7肩(RA群),変形性肩関節症13肩,上腕骨頭無腐性壊死2肩(後2者あわせて非RA群)である.人工関節・骨頭は当初の一体型のNeer typeから現在ではmodular typeを主に使用している.最近の1肩には第3世代の人工骨頭を使用した.

 肩関節可動域は,自動外旋は術前の16.8°が最終経過観察時には47.5°に,自動伸展は28.3°が38.2°に有意に増加した.X線所見ではstemのlooseningはみられず,glenoid component周囲のlucent lineは15例中10例にみられた.Neer scoreは術前の38.6点が最終経過観察時には65.5点(有意差あり)になり,RA群,非RA群とも有意に術後の点数が高かったが,2群に有意差はなかった.術後2年までの短期成績で一体型のNeer typeとmodular typeを比較すると,両者に有意差はないが,modular typeの平均点は一体型よりも高く,成績のばらつきも小さかった.術後の合併症として2例にcoracoid impingementを起こし,これらには再手術を行った.

 上腕骨頭の大きさ・頚体角・後捻角は個人差が大きく,著しく変形した症例では適切に人工肩関節を設置することは容易ではない.この問題を解決するには頚体角と上腕骨頭のoffsetを変形した解剖に適合できる第3世代の人工肩関節の使用が考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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