icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科39巻1号

2004年01月発行

文献概要

症例報告

筋肉転移で発見された胃癌の1例

著者: 里中東彦1 浦和真佐夫1 森本剛司1 浅間信治1 樋口裕晃1 湯浅公貴1 内田淳正2

所属機関: 1静岡市立静岡病院整形外科 2三重大学医学部整形外科

ページ範囲:P.97 - P.100

文献購入ページに移動
 抄録:びまん性に広がった筋肉転移を初発とした胃癌の1例を経験したので報告する.症例は51歳,男性.主訴は右大腿前内側部腫脹および疼痛である.当科初診時,右大腿前内側部に発赤を伴う腫脹,硬結を認め,血液検査所見では軽度の炎症反応を認めた.これらの所見より化膿性筋膜炎を疑い手術を行った.術中に排膿はなく,大腿筋膜は固く肥厚し,筋間の結合織および縫工筋は瘢痕化していた.生検組織の細菌培養は陰性で,初回の病理組織診断は結節性筋膜炎であった.広域スペクトルの抗生物質を術後1週間投与するも局所所見は全く改善せず,病理組織の再検討を行った.その結果,筋膜内中心に印環細胞型腫瘍細胞が認められた.原発巣検索目的で行った上部消化管内視鏡で進行胃癌が発見され,その筋肉転移と診断した.本症例では筋膜内中心に印環細胞型腫瘍細胞がびまん性に増殖したため,軟部組織炎症と紛らわしい臨床像を呈したものと考えられる.臨床像および画像所見が炎症性疾患を思わせるにもかかわらず,感染症が否定的な場合には,癌の筋肉転移も考慮する必要がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら